2つの逆風

2つの逆風

先週、IT業界、日本のユビキタス化推進の障害になる二つの逆風が
吹いたことを皆さんはご存知だろうか??

·IPマルチキャスト放送を、CATVと同じ権利処理を認めるかどうかという議論
·PLC(電力線インターネット)の許可に関しての議論

この二つは、これからの日本のユビキタス化推進の為には、
非常に重要な議論であった。

前者は、最終結論が出され、IPマルチキャストによる地上デジタル放送の
再送信のみは認められたが、その他の部分に関しては認めない、
いわば「玉虫色」の決着となった。いわば、地上デジタルが届かないエリア
への救済策を示しただけに留まっているといってもいいかもしれない。

後者は、家庭内の電気配線を使ってインターネット通信を行うという
大変素晴らしいしくみで、米国を他多くの国で許可されている。
日本も今年の秋ごろを目処に、規制が緩和される予定になっていた。
当初の予想では、30Mbps程度の通信を実現する。実際に某試験設備で
体験させてもらったが、無線よりもセキュリティが高く、安定している。
何よりも、「挿せばつながる」ので圧倒的にカンタンである。
電力と一本の線で供給される点も素晴らしい。
マンション等を構築する際に、インターネット配線が要らないので、コスト的にも
安くなるだろう。

今のパソコン中心のインターネットであると、それ程実感が無いかもしれないが、
家電やセンサーなどヒトとモノ、モノとモノがどんどんコミュニケーションをとるような
時代となると、このメリットは計り知れない。

が、昨日の日経新聞によると、この規制緩和に暗雲が立ちこみ始めているとの事。
漏洩電波によって、高品質なオーディオや、アマチュア無線に影響が出ることを
懸念してとの事。僕も高品質オーディオは好きだし、アマチュア無線もやっていた。
しかし、海外ですでに規制緩和されている事象である。日本で愛されている
大部分の高品質オーディオ機器は、それらの国からやってきたものでは
無いのだろうか??? 技術的にはいろいろな論点があるのは分かる。

しかし、IP再送信の件に関しても、PLCの件に関しても、海外とのこの分野での
競争力に対して、大きなマイナスとなる可能性があることは間違いないと思う。