中国企業家#3 “Internet”を”case study”する
中国語版タイトル「インターネット文化 3つの法則」
日本では、Internetの商用サービスが始まって、まだ15年足らずです。
数あるnetwork serviceの中で、どうしてInternetのみが文化や国境、習慣の違いを
飛び越えて未曾有の成功を収めることが出来たのでしょうか?
今回は、世界最大の「実際に動作する仕組み」であるInternetの成功の秘密を、
“case study”して、激しく発展していく会社組織、各種マーケットへ応用する
お手伝いをしてみたいと思います。
皆さんの既存ビジネスへの応用だけでなく、将来のInternetを利用したビジネスを生み出す、
発想のきっかけになることを期待しています
そもそもInternetとは?
1.Internetは、全体を管理することを放棄した「仕組み」である。
Internetとは、inter + net が語源であり、そもそも「ネットワークとネットワークの間(inter)」を
接続するだけの「仕組み」に過ぎません。
「お隣のネットワーク」とどのように接続するかを定義してあるだけで、全体を管理する仕組みは
存在しません。お互いのネットワークが一切干渉せず「権限委譲」を行っているわけです。
その結果、「お隣とのネットワーク」がserialに形成されていき、世界規模のネットワークが
出来上がりました。
全体を管理せず、隣との接続の「仕組み」のみを定義し、「権限委譲」を行った事で、
人間の管理限界を超えたネットワークが生まれ毎日成長を続けているのです。
2.インターネットの文化は「rough consensus & running code」である。
Internetは、まず動かしてみて、問題が発生したら即座に修正し、それを仕組みに
反映していくという、「失敗が許される文化」があります。
「rough consensus & running code」
まさに「早く動いて、早く失敗して、早く修正する」事を、他の「仕組み」より
早く繰り返していくことで大きな成長を遂げたのがInternetなのです。
昨今の企業経営においてこの文化は必要になってきているのではないでしょうか?
正解を求めて立ち止まるのでなく、勇気を持って早く動き、早く失敗して、早く修正して
正解にしていく。「β版」を勇気を持ってまずはリリースすることです。
失敗を許容することで、「仕組み」自体を変化させていく「文化」によって、Internetの驚異的な
低コストオペレーションが可能となりました。
3.「ネットワーク」と「コンテンツ」を分離し、開放した。
Internet以前のネットワークは、「ネットワーク」とその中で利用する「コンテンツ」が
不可分に出来ていました。
従来の、電話のネットワーク(電話網)のコンテンツは「電話」のみであり、CATVのコンテンツは
「テレビ」のみでした。今までは、ネットワーク事業者がある特定のコンテンツのためにネットワークを
構築していました。
「ネットワークの価値」は、コンテンツが決めます。
“p(利用目的) x n(利用者数) = ネットワークの価値”
pが”1″である既存のネットワークは、nによってしか価値を変化させられませんでした。
(例:電話網)
Internetは、”p”への第三者の参入を認める、「ネットワークとコンテンツの分離」という
システムを採用したことにより、第三者が勝手に日々価値を増大させてくれるようになりました。
これからは、あるビジネスモデルや技術を考案したとき、それを独占するのではなく、どのように
第三者が参入できるかという方法を一番に考えるべきでしょう。
このポリシーをGoogleは「We cannot think of everything.」という有名な言葉で
表現しています。
Internetを”case study”すると、この三つの法則が導き出せます。
世界最大のシステムであるInternetの進化はまだまだ始まったばかりです。
今皆さんが使われているコンピューター、Internetはまだまだ原始的な利用方法に過ぎないのです。
この三つの法則を正しく理解して長期的な取組みを行えば、次の時代のInternetの主役がアジア
から生まれてくるのではないでしょうか?
次回はInternetビジネスの、中国の可能性とそのボトルネックに関してお話できたらと
思っています。