中国企業家 「二つの”縁”」

中国企業家 「二つの”縁”」

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*日本語掲載の際に一部原文を修正しています

「縁(えん)」とは果たして、偶然なのだろうか? それとも「運命論」で語られるように
すべては、「必然」なのだろうか?

5年ほど前に逗子の家で逗子コミュニティーの方々と「偶然の出来事」について
談笑していた際に、その場にいた中国人女性が「それは中国では縁といいます
とさらりと語ったことがあった。

日本人の僕には大変新鮮な言葉に聞こえ、それ以来「縁」という言葉を意識するようになった。

起業を重ね、現在は、上場企業のトップとして、ロジカルな思考を積み重ね、
毎日さまざまな決断をしている中においても、どうしても縁という要素が
多分につきまとう。

「人との出会いにおける縁」は、「ネットワーク理論」からいうと「Super Node」といわれる、
他人とのlink(関係)をずば抜けて多く持っている人物との出会いで、大きな転機を
迎える事がわかっている。

「知り合いの知り合い」をたどっていけば、世界中のどの人物とも6人を介すと
つながるといわれている(6次の隔たり:Six Degrees of Separation)。これは、
その中に必ず他人とのlink(関係)をたくさん持っている人がいることによって可能となる。

実は、インターネットも同様の構造で世界中が効率的につながっている。皆さんが、
利用している中国電信などの接続事業者がSuper Nodeである。

日本では、NTTや弊社などがSuper Nodeであり、NTTと中国電信がつながって
いることによって、それぞれと接続しているユーザーが相互に通信できる
仕組みとなっている。

#これらの内容は「新ネットワーク思考」という本にわかりやすく説明されているので、
#ご興味ある方はぜひともお読みいただきたい。
自分自身の企業家人生も、思い返せばSuper Nodeに位置する方々との
出会いの連続であることがわかる。

高校時代にSONY創業者の盛田昭夫氏と出会い、「起業」と「通信」という二つの人生の
方向性を予言された。「通信」を極めるために選択した慶応義塾大学で、日本の
インターネットの父である村井純教授に出会い、インターネットのマインドそのものを教授された。

インターネットを広げる活動において、日本有数のジャーナリストである木村太郎氏に出会い、
ダイヤルアップによる低速ネットワークの時代に、「インターネットは放送メディアになる」という
教えを受け、日本初の全日制インターネット放送を実現した。

そして、1999年、世界最大のコンピューター見本市であるCOMDEXの基調講演において、
ソニー会長(当時)であった出井伸之氏の伝説的基調講演に出会った。

・インターネットはブロードバンドになる。
・放送はパーソナルになる。
・パソコンではなくCE機器によるインターネット利用が始まる。

この三つの予言は衝撃的であり、現在のFreeBitの起業ビジョンを決定づけた。

FreeBitでは、創業9年で、“ServersMan”という携帯電話をWebサーバーにする世界初の
サービスを今年生み出し、このビジョン向かって大きく飛躍した。このプロダクトは、
日本だけでなく、特に米国、そして世界中で大きな話題になっている。

「通信/起業」→「インターネット」→「放送」→
「ブロードバンド/パーソナルブロードキャスト/機器によるインターネット」

Super Nodeの方々との縁によって生まれたキーワードはすべて連鎖している。

そして、私事になるが、7月11日。5年前に「縁」という言葉の新鮮さを教えてくれた、
中国人女性と、彼女の出身地の江蘇省無錫市で結婚式を挙げた。

彼女とは出井氏のご紹介で知り合い、結婚式には、体調が優れない僕の両親に代わり、
木村太郎ご夫妻が、親代わりとして無錫まで駆けつけてくださった。

来賓の、ある政府の方は、僕を「無錫の息子」と呼んでくださった。

そして、何より感激したのは、義父が僕を家族の一員として心から受け入れてくれる
スピーチをしてくれたことだった。

FreeBitの企業理念は、Being The NET Frontier!である。
インターネットに限らずNETのFrontier!を常に広げていくことを使命としている。

日本語では、Frontier!も、「縁(ふち)」と表現できる。

縁(えん)と縁(ふち)とは、同一の単語だ。

縁(えん)を大切にして、インターネットの縁(ふち)を広げることに、
今後もまい進していきたいと覚悟を新たにした。

そして、ビジネスでも、プライベートでも 中日友好! でがんばります!

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(2009/7/11 無錫にて)

PS.
結婚のご報告は7月末の株主総会において、誰よりも最初に出席いただきました
株主の皆様に行わせていただきました。