第124話 tablet PCを体験!

第124話 tablet PCを体験!

ishidatablet機器を手に打合せを行う石田氏
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ついにマイクロソフトの大型商品である「tablet PC」搭載機種が発売された。「tablet PC」は,2000年COMDEX Fallでの発表以来個人的にとても注目していたプロダクトで,発表を心待ちにしていたところだった。

2000年COMDEX FallのBill Gates氏の基調講演には僕も参加しており,その感想を新潮社の「ENGINE」(※2)で以下のように書いている。

「紙」への挑戦今年のビルゲイツの基調講演のテーマの一つが「タブレットPC」であった。
このコンセプトには,タブレット型で持ち運びできる新しい「PCライフスタイル」の提案と共に古代エジプト以来人間が最も身近なツールとして用いてきた「紙」への代替を狙う戦略的な野望も潜んでいた。
インターネットの普及によってクリック一つで世界中の情報を瞬時に手に入れることが可能となった。「新しい情報は造る必要はない。世界のどこかにすでに存在している。それをどのように組み合わせて表現するかが人間の営みとなる」と断言する学者もいる。こういう時代に「思考」というクリエイティブな活動を支える「紙」というツールに限界が見えてきていることも確かだ。
様々な情報を自由に組み合わせ,テキストと画像の区別無く,全て「オブジェクト」として組み合わせ思考をくみ上げていく事ができるツールの登場は非常に興味深い。
最も複雑なテクノロジーを結集し最も「シンプルな」ツールを作り出す。これも21世紀のテクノロジーのベクトルかもしれない。

ペンで画面に文字を書いたり,それを認識させたりする技術はそれまでに多数目にしてきていたが,COMDEXで「tablet PC」のデモを目にしたときに「今までとは何かが違う」と明確に感じたことを覚えている。そしてついに実機に触れてみて,この「何かが違う」という感覚は「実感」となってなった。

まず大きかったのが「筆跡の再現性」である。ペンの追随性が極めて高いために,実際に紙に書いたようなスムーズな軌跡の線を描くことができる。その為,文字を書くときっちりと自分の「筆跡」を再現することができるのだ。この自分の筆跡の再現性がここまで,情報を受け取り易くするとは思いもよらなかった。ペン入力のシステムを,小型機器ではなくフルスペックのPCに搭載した理由が納得できた。

自分の筆跡を完全に文字認識させるには,まだ幾度かのバージョンアップが必要かもしれないが,2000年当初に予想していた通り「tablet PC」は人間の思考の為のツールとして大きな可能性を秘めていることを感じた。

手書きの文字を,あとから編集し,大きさを変えたり,配置を変えたり,インターネットにアクセスして他の情報を貼り付けたり,,,と今までの紙では力不足になりつつあった部分をひとつのツールで実現することができている。

先日シャープが液晶に8bitのチップを組み込む技術を発表していたが,そのような技術が進歩し「tablet PC」が十分動作するようになったら,本当に紙に変わる「思考のためのツール」を人間は手にすることができるようになるかもしれない。

あるアイディアを思いつくことは当然大切なことだが,それを一般の人に本当に使えるようにすることは全く別の次元で大切なことだと思う。マイクロソフトは今回もその力を発揮して,未来への可能性を開いたのではないかと感じている。現段階の「tablet PC」はまだまだ荒削りだが,未来へのベクトルを十分感じることが出来た。

(※1)第122話 livedoor NeXT STEP !
(※2)新潮社「ENGINE」2001年2月号に掲載

ダイアリー

11月6日(水)
午前中はSAISON向け企画書の作成。出社後は,livedoor関連のヒアリングを行う。それから開発案件のプロダクトラインに関しての整理ミーティング。社内開発,外部とのプロジェクトとの開発で多くのラインが平行して走っているのできっちりとそれぞれの整理を行う。夜は,SONYにてサービス企画に関しての打ち合わせと,技術開発に関しての打ち合わせ。疲れ果ててオフィスに戻り,田中さんと「たもいやんせ」で夕食。

11月7日(木)
出社後某プロダクトの社内キックオフミーティング。新しい担当者と役割分担を明確にする。午後は,SONYにて4件打ち合わせ。オフィスに戻り,新オフィスのデザインに関しての打ち合わせ。やっとエントランスが決まる。夕方,某案件に関してのデモンストレーション。とてもいい反応を得る。明日からlivedoorのネットワーク切り替え(※1)が始まる。詳細までを検討し,お客様に迷惑がかからないスムーズな移行を心がける。

11月8日(金)
livedoor移行作業の徹底フォローアップ。午前から夜まで技術,サポートセンターを行ったりきたりしてフォローを行う。無事移行が始まって一安心。お客様からの反応も上々。よかった。

11月10日(日)
朝は,livedoorの移行状況をチェックしながら,Sonyユニバーシティの資料作成。その後は,読書とバイオリンの練習。それから,戦略をまとめるメモを作成。夕方はブックファーストにて本を物色。たくさん買い込む。夜は,livedoorの「Smart Shift」プログラムの検証。

11月11日(月)
午後一番で,livedoor移行に関してのスタッフミーティング。細かいアクションアイテムまで確認する。全ての部署の足並みがそろうことが一番大切。その後,Sonyにて打ち合わせ4件。。。夜オフィスに戻っていくつかフォローアップミーティング。

11月12日(火)
午前中は,Sonyユニバーシティの講義内容をチェック。14:00過ぎから講義。外から見たSonyグループに関しての話を行う。質問もたくさん出てとても充実した時間となった。オフィスに戻ってlivedoor案件のフォロー。少し時間が空いたので,ReSET.JPに関してのメモを作成。夜は,木村太郎さん,奥さんの和子さんと六本木でお食事。とても楽しい時間を過ごす。木村さんがオフィスでがんばっているスタッフにお土産のお寿司を買ってくださったので皆に届ける。感謝感謝。そのままオフィスでlivedoor移行プロジェクトのフォロー。