中国IPv6の旅
株主総会と資金調達の目処が立つ8月から中国事業に対する僕自身の
リソース配分を増やし、積極的な事業立ち上げを行う計画となっていた。
8月に入り、いよいよ実行だ!!!
この背景を繰り返し、ブログでも記述してきたが、フリービットでは
前年度下期より次の成長に向けた「リソース確保」に積極的に動いてきた。
・経営リソースの確保
グループ会社の経営陣、戦略人事/買収後の組織作り、コーポレート
ガバナンス、新規事業開発人材
・成長事業コアの確保
(マザーデータセンターMEXの買収、中国事業におけるBIIとの
戦略的提携)
・新規事業のシード展開
(ServersManの世界展開、ユビキタス家電におけるEXEMODEとの
資本提携)
・研究開発の拡張
既存のR&Dに加え、北京に仮想化のラボを構築
そして、それらのロードマップを新中期経営計画SiLK VISION 2012として
発表した。リソース確保の最後のピースであった資金調達も成功裏に
完了した。
現在フリービットでは、SiLK VISION 2012の
「IPv6&仮想化技術によるクラウドサービスで世界No1を目指す」
という方針に沿った「次と、次の次の成長事業の立ち上げ」に選択と集中に
考慮しながらも、積極投資を行っており、段階的にそれらのプロダクトが
リリースされてくる予定である。
実例)
フリービット 法人向けXaaS事業第一弾として専用ホスティングサービスを刷新
今後は、クラウド関連サービス、ServersMan等のサービス、
具体的なユビキタス家電サービス、ハイブリッド戦略の進捗などなど、
多くの案件のリリースを予定している。
さて、本題に戻るが、株主総会で、株主の皆様に直接今後の
方針をご説明させていただいた上で、いよいよ8月から北京へのリソース配分を増やした。
(リソースの割り当てに関しては、出井取締役のご意見を参考にしながら、
調整を行いました)
先週は、当初の予定通り土、日をはさんで、1週間北京滞在し積極的に活動した。
テーマは、「中国のIPv6の現状の完全把握」だ。
政府(CNGI) → キャリア → 大学ネットワーク → 通信機器メーカー → コンシューマー向け低価格通信機器メーカー
中国次世代ネットワーク(CNGI)の集中監視センターを特別視察。
150人のスタッフによって、中国全土のネットワークが監視運用されている。
提携会社のBIIのすばらしいアレンジによって、超上流から下流まですべてを
視察し、活発な意見交換を行い、中国におけるIPv6の現状とリアリティと課題を
「細部の細部」に渡るまで把握することができた。
中国国内においても、ここまで垂直統合的に意見収集し、内容を把握できている
人間はそうはいないだろうと自負できる。
詳細はここでは書けないが、一言で言うと、
「中国はIPv6に対して国家を挙げて、本気だ」ということだ。
・中国は世界最大のインターネットマーケットであり、
毎年の増加数が、日本の「全市場」と同じ数。
・中国はIPv6に対して真剣であり、政府からは具体的な到達目標が
示されている。
・中国の国家プロジェクトのCNGI(次世代ネットワーク)では、
IPv6が標準技術として設定されており、すでにCPNといわれる
IPv6接続を推進するノードが273箇所も存在する。各CPNは
明確な獲得目標を設定されている。
・基幹網だけでなく、一般ユーザー向けサービスのIPv6化には
莫大な費用が必要となるが、中国政府は投資金額をすでに
想定している。
これから数年間で同分野に対してとてつもない規模の政府調達が
かかるようだ。
ひとつ印象的だったのが、
「どうして中国はそこまで急いでIPv6を普及させるのか?」という
僕の質問に対して、有力者や学者の方々は、
1.IPv4の枯渇が見えているから。IPv4の多段NATなどで大丈夫と
いっている人たちは、長期的戦略が無い。実際そちらのほうが
高コストになることに気づいていない。
中国でも地方政府や、地方キャリアは目先の目標に追われるあまり
この傾向が強いが、中央で方針が決まるとすべてその方針で
動き出す。
2.膨大なIPアドレスを使った、適切な「制御と管理」が可能になる。
と同じ内容のことを繰り返し語っていた事だった。
中国はyoutubeもtwitterも現在は、遮断しているが人々は代替サービスを
利用している。baiduという世界第二位の検索サービスも国内に
保有している。
中国においては国内サービスだけIPv6化進めても、国民の利便性が
それほど下がることはないと踏んでいるのだろう。だからこのスピードで
進める決断をしているのだと感じた。
# また、「制御と管理」という言葉がとても深く感じた。
IPv6が叫ばれだして、そろそろ10年ほどになる。当時、日本でも中国でも
IPv6を謳ったサービスやベンチャーが生まれ、数年後にはその殆どが、
消えていった。
そして、今、IPv6は本当のサービス、そしてビジネスになろうとしている。
今回の視察によって、中国がこのスピードでのIPv6シフトを実現するために
欠けている「missing link」を見つけることができた。
これは、プロのインフラ会社として、実際のユーザー環境においての
長い実運用を行ってきた実績からしか見えない世界である。
フリービットは、2003年に Feel6の開発によって仮想化/tunnelingに
よるIPv6の80以上のISPが参加した実証実験環境において「実運用」を開始し、
[実証実験の結果]
http://start.feel6.jp/lifestyle/
ここで一緒にソニーの家電のIPv6化を実現した辻野プレジデント(当時)は、
現在日本のGoogleの社長に就任されている。
その年のうちにIPビジネスホンによって「実ビジネス環境」においての、
電話というシビアなサービスの運用に踏み切っている。
仮想化/IPv6運用ですでに6年の経験をつむことができている。
この差は大きい。
あれだけの技術蓄積のあるソニーがどうしてフリービットと組んだのか。
それは、フリービットが、ネットワーク、CE機器、サービスの間の
missing linkを結ぶことができたからだと思っている。
同じことが、広大な大陸で起ころうとしている。
Being The NET Frontier!
今が、本当に勝負のときだと思っている。