2012年を振り返って(長文)

2012年を振り返って(長文)

2012年の終わりは、福岡の実家で過ごしている。
中期計画の発表も控えているので、じっくりと時間を取って、一人合宿中である。


高校時代に書いた、ソニー盛田会長への手紙の下書きを実家で発見!

今年のテーマは、「挑戦者」に設定し、自分自身としては、
「すべての行動」に対して「挑戦者」として臨むことを徹底した。

フリービットグループとしては、売上規模が200億を超え、
SiLK Renaissanceによるtransformationにほぼ目処をつけ、
2012年は「アクセル」を踏むべき段階に入った。

その為にグループとして最重要課題としたのが、
遅行指標から先行指標」への体質改善だった。

経営リソースをどのように最適配分して、「勝利の必然性」を
どうやって「事前に」積み上げていくか。

「目的地」があり、「現在地」がある。 そもそも、「現在地」とは「日々変わる」ものであり、 「現在地」が変わったからといって、「目的地」を変えてはいけない。 「現在地」と「目的地」を結ぶ、最短経路が「戦略」である。             酒井穣「新しい戦略の教科書」より

という理論/行動原則にともなって、

円形組織 / KPI(先行指標) /「利益の方程式」

の導入を行った。これは、フリービットの今後の運営の「背骨」と
なるべきもので、これらを酒井穣取締役と二人三脚で組み上げて
いった。フリービットの経営インフラとしては、大きな「転換点」
になると確信している。

しかし、組織へのインストールでは、まだ一年では徹底できていない
事も反省しなければいけない。相当な時間をかけて、直接スタッフに
伝えてきているが、まだまだ満足行くレベルに来ているわけではない。
各事業部門のトップには、年末年始での活動に関して「宿題」を
出しているので、来年の頭から一段深いインストールを行なっていく。

これらの方針に基づいて、事業面のトピックとしては

・クラウド領域

お約束していた通り、期内黒字化を達成して、5月からの
新期に入った。現在は順調なIaaS分野だけでなく、
PaaS分野にも進出している。Cloud Mail / Disk が前年比で
大きく伸びてきている。現在仕込んでいる技術投入によって、
さらなる差別化が見込まれる領域となっている。

・MVNO

昨年参入したMVNOは、ServersMan SIMの投入によって、
大きく独自性がアピールできるようになってきた。
固定からモバイルへのシフト」が非常に重要な
テーマであったが、DTIはこのビジョンに忠実に従って
リソースシフトをし、買収後 最大規模の純増
実現している。ブルーオーシャン戦略に基づいた
戦略が奏功している。

ほぼ開発が完了している、切り札も待っているので、
この領域は大変期待している。

来年は「顧客体験の最大化」へ遂に大きく舵を切る。
本来、僕自身が一番得意な分野である。

・M2M領域

M2MをComponent化する、悲願のplug in cloud が完成。

今年はこのアーキテクチャーの、ある意味「布教」の一年になった。
実導入はもう少し早いかと思われたが、フリービットにまだ未熟な
部分があったことは反省した上でも、日本企業の動きは思った以上に
遅かった。

M2M事業は石にかじりついても立ち上げる。

この事業は、1990年代から僕達のチームは、
幾つかのフェーズで進展してきている。

第一期:[DTI時代]
当時親会社の三菱電機と「インターネットテレビ」のシステムの立ち上げ
/ 非PCの世界を見る。

第二期:[DTI時代]
米国オラクル/ナビオ(netscape子会社)の依頼を受けて、
日本向けのnavio box (NC-TV)の開発を行う。
STBと機器を接続して遠隔で「継続サービス」を行う
難しさと解決方法を学ぶ。

1999年 COMDEX ソニー出井会長(当時) 基調講演
現在のappleの戦略等の基礎となる「ゲートウエイ戦略」を
現地で聞き、衝撃を受ける。

第三期:[以降フリービット創業後]
ソニーとインターネット機器開発に関しての提携を
行い、Cocoonの開発に参加。

その他、EmotionLink技術をベースに、日本の数社の大手
メーカーと提携し、機器を生み出す。

しかしここで、学んだことは、その開発スピードだった。
どんどんスピードが増していく世界において、日本の
大企業のプロセスと、過剰クオリティでは世界に遅れを
取ることを「実感」

第四期:EXEMODEを買収し、自ら「Maker」となる。
ファブレス化、Linux/Androidの登場により、資本の
無い我々でも「Maker」になれることを実体験。
aigoとの提携によって、中国市場にはまだ残っている、
あるい意味前時代論理である「規模の論理」も
遅ればせながら実体感。

そして、この領域は、現在過渡的市場であることも学ぶ。
次の産業革命は必ずこの領域で起こってくる。

これらの「実体験」から、完全に勝利できる領域、
特に以前から繰り返し話をしてきた、

「ハードウエアのサービス化」「継続課金化」

領域への「レシピ」が、実ははっきりと見えた。

その為に、規模の論理、流通の論理がまだ残っている
「現時点」では、その2つの領域からは完全撤退することを決定。
EXEMODEのプロパー商品から撤退し、次回参入の準備を
具体的にはじめる。

第五期:Plug in Cloud の開発

M2Mの「コア・アーキテクチャー」の第一弾の開発。
現在市場啓蒙中。

日本は「想定内」のニーズが多いが、やはり中国ではアーキテクチャーの
本質自体を理解したニーズが出てきている。

まだまだ始まったばかりの領域で、この領域の裾野はとても広い。

単なるWIFI付SDカードと、plug in cloud は裾野が違う。

このビデオが実は多くのことを語っています。
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=HbXvnmhX2yk

我々は、この一年の間にSocial Computer 01 と、plug in cloud 2つのコンピューター
アーキテクチャーの提案をすることができた。Social Computer 01は、
単なるプロジェクターではなく、

「サイズ可変ディスプレイとインプットデバイスを内臓した
超小型コンピューター」

との理解がやっとであるが、広がってきている。丁寧なセールスが
必要な領域だと実感。

ソニーの井深/盛田両氏が語った「市場はこしらえるものだ」という
言葉を肝に銘じている。

SONYがテープレコーダーを作った時に、世間には利用方法がなかった。
googleの創業者の二人が、page rankの仕組みを考えた時に、
それを検索に使うと決めたのはずっと後のことだ。

そして何より、パーソナルコンピューターが生まれたときは
「高価なおもちゃ」と言われていた。

アップルが世界最初のパーソナルコンピューターを生み出して、
それらがインターネットと繋がり、本当の意味で「世界を変える」まで、
30年ほどの時間が必要であった。

M2Mの時代は、好きであろうと無かろうとやってくることは間違いない。
繰り返しになるがこの市場は「石にかじりついても」立ちあげて行きたい。

・中国事業

中国は我々が、磨きに磨いてきた クラウド / M2M の大きな市場となる。
環境、医療問題 など今後最も大きな問題を抱えるだろう。
それらを、テクノロジーで解決していく大きな市場が生まれる。
しかし、政治状況に大きく左右される事も確かである。

実際の事業としても、昨年末の温家宝首相の発言以降、IPv6、M2Mが
動き出してきた。また、悲願であった中国本土向けサービスを
香港でスタートすることもでき、継続課金が徐々にではあるが、
積み上がってきている。

中国だけでなく、さらに、「本場」での準備を進めている。

・新経連活動

今年の後半から、新経連の監査役としての活動を始めている。

当然本業重視の姿勢であるが、やはり我々IT産業が「継続的発展」を
していくためには、自社だけの取り組みではなくもっと長期的な
活動(先行指標)が必要であると痛感し、頂いた就任オファーを
受けさせていただくことにした。

選挙後すぐに安倍首相(当時はまだ自民党総裁)との会談が行われた事に
ついては多く報道された。

最重要取り組みであった、インターネット選挙活動の解禁に関しては、
安倍首相も「参議院選前に」と明言するなど、非常に大きな成果を
得ることができている。

[ニュース動画]
http://www.tv-tokyo.co.jp/mv/wbs/news/post_32449

本日の、日経のオンラインでも大きく取り上げられて頂いている
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK2603I_W2A221C1000000/?dg=1

この分野に関しては、技術的に具体的に貢献できることも大きいと
感じている。しっかりと貢献していきたい。

また、僕自身は新経連の新エネルギー委員会の委員長にも
就任しているので、この領域においても、新産業創出に向けて、
しっかりと取り組んでいきたい。

2012年、僕自身は40歳を迎えた。

30にして「立つ」
http://atsuki.net/archives/2002/06201200.html

から、本当に「理念バカ」というくらい、10年理念実現に向けて
邁進してきた。

そして30代の最後の最後になって、今まで頑張ったことへの
ご褒美」とも言える出会いもあった。本当に、頑張っていると
神様は見てくれているのだと感じずにはいられない。

今年も皆様、本当にお世話になりました。
来年もよろしくお願い致します!!!

2012/12/31 福岡の実家にて

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